小野川の町づくりは新しいタイプです

下記の文章は行政への要望書提出の際、蔦幹夫が執筆し、その小野川の町づくりの特性をまとめたものです。
小野川の町づくりの参考資料にしてください

 平成13年にJTB、JR東日本の「若手社員勉強会」は新しいタイプの観光地開発をテーマに、「そこに住む人、町全体の生活や文化を丸ごと活かした観光地づくり」、「ハード偏重でなく、地元のホスピタリティーを基礎とした“ONLY ONE”の観光地づくり」を目指し、その対象地を模索していた。東日本の各候補地から“やる気”、そして、“熱意”から小野川温泉が選ばれた。このオファーを受け、小野川温泉観光協議会はプロジェクト推進の核となる「観光知実行委員会」を設置し、町づくりを行っている。

 現在、「ソフト重視」の町づくりを実施している、「観光知実行委員会」の「知」は地域を「知」り、観光に「知]恵を絞る、無い物ねだりでなく、今ある物を活用する、金を掛けずに、知恵と汗を出すプロジェクトチームだ。今実施している「お楽しみプラン」は「散策マップ」を作り、町歩きの「夢ぐりプラン」、「お休み所」、「どこでも出前」、「朝市」等である。これは既存の施設やサービスを利用したもので、町全体を地域住民が楽しめ、観光客も楽しめるプランである。この小野川の町づくりを吉澤*@は「観光知開発」と造語した。

 そして、地域全体を巻き込み、地域全体を集客資源とした地域づくりをしている。「観光知実行委員会」は観光従事者だけでなく、床屋・畳屋・設備屋など多くの人々が参加している。また、朝市では小野川周辺の農産物生産者と連携し、ホタル祭りでは米沢ホタル愛護会と連携し、相互に協力・依存関係がある。小野川温泉は人々の生活があり、自然環境があり、地域の魅力を醸し出す、「生活感のある温泉地」である。小野川の観光は地域全体を楽しむものであり、地域全体の人々の生活や自然環境の上に成り立っている総合産業である。いわば、地域づくりそのものを観光資源と考える。無料の露天風呂、足湯、飲泉所を地元民が楽しみ、観光客も楽しんで、互いの会話の中でホスピタリティーが醸し出される。地域住民の「住みよい町」、「誇れる町」を作ることが、結果的に交流人口を増やし、優れた観光地になる。つまり、観光を考えることは地域を考えることである。そして、子供たちが将来「住みたい町」を作ることで定住人口の増加も図れる。小林*Aによれば、「小野川温泉は『集客型地域づくり』であり、その中でも『一つ一つの資源の評価は低くても、地域の風土や暮らしぶりまでも含めた地域全体の雰囲気、言わば『地』を集客資源としているところ』として、『地型の集客型地域』に近い手法をとってきた」。そして、小野川の町づくりは観光だけのプランでなく、地域の産業・経済・社会の活動が有機的に関わる複雑適合系である。

@ 財団法人日本交通公社 吉澤 主任研究員 JTB旅連ニュース20026月号 「観光地の魅力づくりに新たな試み」

 A 鰍iTB営業企画部・中央大学研究開発機構 小林裕和

17回日本観光研究学会 「動的な生態観光系としての温泉地におけるマーケティング戦略〜山形県小野川温泉を例として〜」