全国ホタル研究会米沢大会を振り返って

蔦幹夫
 

第34回全国ホタル研究会が7月6〜8日の期間米沢市で開かれました。全国各地、北は稚内、南は久米島から多くの人々に大会へ参加頂きました。今回の米沢大会の実行委員会の事務局長を務めましたが、米沢ホタル愛護会を中心とした民間主体のメンバーによる運営であり、不行き届きの事が多くあったと思います。

今回の大会は次の方針で行いました。一つには、大規模でない、低コストの大会 二つには、ホタルだけでなく、ホタルもいる自然環境にも視野を広げた大会を目指しまし。米沢大会は研究発表と情報交換・意見交換が十分できる大会で、民間研究者・保護活動者が中心に開催できる低コストの大会を目指しました。大会開催を機会に新規の施設を作ることなく、今あるホタルの自然発生の生息地の保全・再生の状況を見学して頂きました。そして、全国ホタル研究会の会員の多くがホタルを通して身近な自然を保全・再生を目指す中、ホタルだけでなく、ホタルの生息する環境やホタルもいる身近な自然環境についての幅広い発表・報告がある大会にしました。地元発表として、山形県置賜総合支庁河川砂防課の青山憲二氏が「大樽川河川改修について」の題名で新しい河川改修の考え方を紹介しました。大樽川の当初の河川改修計画は河道直線化案で、ヒメボタル生息地の夜鷹原の河畔林の消滅が危惧されました。米沢ホタル愛護会と地元住民の要望で自然環境調査が行われ、ハナカジカ・ホトケドジョウなどの貴重な生き物が見つかり、生物の種が数多く存在する河川であることが判りました。この調査後、計画が変更され、今ある河道に手を入れない、川幅を拡げる改修計画になりました。

今回、「ホタルの地域固有性と移動」のテーマでシンポジウムを行い、後藤好正編集長の司会で、遊磨正秀氏・鈴木浩文氏・大内鉱三氏が意見を交換しました。鈴木氏から移動の3原則が提起されましたが、「移動・放流」に関して意見の明確な一致は見出せませんでした。このテーマに関し、全国ホタル研究会で幅広く、多くの意見が出されたことは意義あると思います。「ホタルの発生競争」・「ホタルのペット化」が言われていますが、ホタルの増殖活動での無秩序なホタルやカワニナの移動・放流が社会的問題化している中、全国ホタル研究会はこの問題を討議し、指針を出すのが会としての社会的責務と思います。

米沢大会には初めての大会参加者も多く、初日の夕方、「環境学習会」が大場名誉会長を講師に、「ホタルが自然発生する環境作り」の題目で開かれました。豊富な事例と具体的な内容で、ホタル保護活動の指針作りに大変参考になりました。

大会時期をゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルが一緒に観賞できる期日に設定しました。雨模様で、数多くの飛翔を確認できませんでしたが、自然発生しているそれぞれのホタルと生息環境を見学していただきました。今大会の開催を契機に、地域の数多くの場所にそれぞれのホタルがいて、多くの生き物が生息する自然環境の保全と再生をより一層拡げたいと思います。